第1章 ネットニュースの人
「こんな所で寝ると、熱中症になるぞ」
目を瞑り感傷に浸っていると、低くて良く通る男の人の声が頭の上から降って来た。
え?誰?
慌てて目を開けると、
「..........えっ?!?」
目の前に立っている男性は、私のよく知っている人に似ていて.........でも、その人はきっとここにいる訳が無い人で........、それに、知っていると言っても知り合いと言う意味ではなく、私が勝手に知っている人。
うそ、そんなわけ.........
「お、織田信長っ!?」
「何だ、思った以上に威勢がいいな」
ニヤリと、その口は綺麗な弧を描いた。
「ほ、本物?」
だって、この人がここにいるはず無い。
「俺の偽物がいるのか?会ってみたいものだな」
カラッと綺麗な顔が笑顔を作る。
「ど、どうしてここに?病気なの?」
もしやお忍びで、何かの検査に東京から九州まで?
「ふっ、病気かと聞かれるのは想定外だったが悪くない。だが違う」
揶揄うような彼の口調に、有り得ない考えが浮かび上がり、口に出してしまった。
「..........もしかして、私のお見舞いに来てくれた.....とか?」
言った後でしまった、馬鹿な事をと思ったけど、
「半分は、正解だ」
不敵なその顔は愉快そうに口の端を上げた。