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あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第1章 ネットニュースの人



私の住まいは神奈川県にある。

インターハイの今年の会場は九州だった為、そこで事故にあった私は精密検査と容体が落ち着くまでの間は運び込まれた九州の病院に入院していたが、骨折自体は複雑な物ではなく、本来なら通院で済むものであったため、明日退院して、後は地元の病院に通院する事になった。

骨が完全にくっついてリハビリができるようになるまでに約3ヶ月ほどかかるみたいで、その間お世話になる松葉杖の練習がてら、病院の中庭へと出て来ていた。


「はぁ〜、思ったより疲れるし脇が痛いな」

真夏の松葉杖移動は汗だくで、中庭のベンチに腰掛け掌を見ると全体重が掛かっていたため真っ赤になっている。

 
「3ヶ月もこの状態かぁ。ギプスも気になるし、早く取りたいなぁ」

ベンチにもたれ空を見上げると、真っ青な空に入道雲。

「あぁ〜いい天気。走りたいなぁ................」

陽が直接当たるこのベンチは暑かったけど、ずっと外の部活をして来た私には久しぶりの陽の光で嬉しくて、僅かな風を感じながら目を閉じた。

足は動かないけど、身体が走る感覚を思い出す。

どんなに暑い日だって走ってた。
頭から水を被って、部活仲間みんなできゃーきゃー言いながら水浸しで部活をした。


犬を助けた事は全然後悔してない。

あの時の犬は無事で、少し先にいた飼い主の元へと歩いて行ったとお見舞いに来てくれた友達が教えてくれて、本当に良かったと思った。


ただ、その日のネットニュースに私の事が出てたと言って、友達がその時の画面を写メして送ってくれた。

【女子高生、インハイ目前の交通事故】との見出しにも、もう心は軋む事はなく、ニュースになるなんて私凄いじゃんと思えた位だ。


それに、あの日あの決勝を見て、思いっきり泣けたからスッキリした。


大会に出られなかった事は、きっと一生忘れられないし、出られていたらとこれからも時々は思ってしまうと思う。

でも、悔いはない。

辛い時も逃げ出したい時もあったけど、大好きな陸上を6年間続けた事は私の財産だ。

足首の骨折は、何の後遺症も残さないらしいが、やはり瞬間的な力には弱いらしく、短距離競技を続ける事は難しいと言われた。だから、大学進学希望だけれど陸上は続けないと思う。これからは新しい何かを見つけてまた情熱を燃やせればと思っている。


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