第6章 助言
「大丈夫よ。いざと言う時傷つかないように、信長が女に飽きるタイミングをいくつか教えておいてあげる。私もこれを知ってたからきれいに別れられたのよ。あのね..........」
私の両肩を優しく抱いて、麗美さんは囁く。
覚悟はしていたけど、覚悟が全然足りなかった事を痛感させられる言葉の数々が麗美さんの綺麗な唇から紡ぎ出された。
この時の麗美さんの言葉は、確実に私の心を蝕み、その後の私の行動に大きく影響する事になる。
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「セナ、お疲れ様。帰るわよ」
「ケイティ」
ケイティの顔を見て、無性にほっとした。
「どうしたの?青白い顔して。色黒美人が台無しよ」
「もう、色黒は余計だよ!陸上の時の名残が消えないんだからしょうがないでしょ」
「あら、そうなの?てっきり地黒なんだと思ってたわ」
「6年間浴び続けた紫外線はなかなか手強いの!見てて、今に美白化粧品のCMに出て見せるから」
「楽しみにしてるわ」
ケイティなりの優しい意地悪が胸に染みた。
「あっ、そう言えば、CMで思い出したわ。この間のCMオーディションダメだったわ」
優しい意地悪が一転、次は現実の厳しい結果を突き付けられた。
「それって、保険会社の?」
「そう、それ」
「えぇっー!それは今回自信があったのにぃ」
結構あっち側の反応も良かったのにな.....
「まぁ、初めのうちはこんなもんよ。諦めず受け続けましょう」
「はーい。頑張ります」
「もうすぐ学校に着くわよ。勉強も頑張ってきなさい」
「はーい」
大学の門の前で降ろしてもらい、午後からの講義を受けた。