第6章 助言
「おはようございま〜す」
カメラマンが撮影した画像をPC越しに見つめるBbの編集長に声を掛けた。
「え?あ、あー麗美さん?お久しぶり」
突然の挨拶に編集長は驚いて顔を上げたけど、Bbには以前雑誌のインタビューを受けた事があって顔見知りだった為、すぐに気づいてもらえた。
「ご無沙汰しております。この先の所で私も撮影があって、編集長の姿が見えたので、挨拶に来ちゃいました」
「あっ、そうなの?今撮ってるやつで最後だから少し待っててくれる?」
「勿論です」
撮影をしている方を見ると、モデルはやはりあの子。
『麗美、ここへはもう来るな』
あの日、久しぶりに信長に会いに行ったら急な終了宣言をされた。
『................やだ、何言ってるの?私達は別に気が向いた時だけの大人の関係だったでしょ?』
『貴様が分かっているならいい。その関係も終わりだ。もう来るな』
急な事にただぼーぜんとする私の前に突然現れたのが、あの子だった。
来るもの拒まず去るもの追わずの信長が、自ら足を運んでスカウトした子がいたと聞いた時は驚いたけど、部屋に入ってきた彼女を見てすぐにこの子だと思った。
だって、信長の顔が一瞬優しくなったから。
私には見せてくれなかった顔をしたから......
この子のせいで私は振られたんだと思ったら悔しくて、わざと信長のネクタイを引っ張ってキスしてやった。
「はい。オッケーです」
カメラマンがオッケーを出すと、彼女は「ありがとうございます」と可愛らしい笑顔を作って頭を下げた。
こっちへ歩いてくる。
................ふと、魔が差した。