第6章 助言
私は、紅林麗美。朝の情報番組でお天気おキャスターをしている。
「はい、カメラ回ります。10秒前...............5、4、.................」
「おはようございます。今朝はみなとみらいからお天気お伝えします」
「.....................はいオッケーです。お疲れ様でした〜」
スタッフのオッケーの合図で、遠巻きに見てたスタッフたちが一斉に動き出す。
「麗美さんお疲れ様です」
女性ADの一人が私のピンマイクを外しに来た。
「お疲れ様です」
外してもらう間じっと動かず遠くを見てると、
「あ、何かあそこでも撮影してる?何だろ」
早朝のみなとみらいは通勤の人以外あまり観光客もいないから、よく様々な撮影がされている。
「あぁ、何か雑誌の撮影らしいですよ。確かBbだって聞いてますけど」
「そう...........Bbね」
その雑誌の名前を聞いて、嫌な事を思い出した。
「ねぇ、次までまだ時間あるよね」
「あ、はい。40分後にレンガ前に集合で大丈夫です」
「分かった。ちょっと知り合いがいたから挨拶してくるわね」
そう言って足早にBbの撮影現場へと近づいた。
私は最近、大失恋をした。
相手は自分より年下の男だったけど、夢中だった。
物心ついた時から、可愛い、綺麗だと言われて来た。思い通りの人生を生きて来て、大学ではミスキャンパスとなってキャスターの道を歩んだ。
恋愛だってそれなりにして来たけど、彼に会った瞬間、雷に打たれたみたいになった。
自分から声をかけたのは初めてだったし、彼が遊び人だということも知っていたけど気持ちを止められなかった。
だけど、私たちの関係はあくまで大人の関係。つまり利害が一致した時のみの身体の関係だった。
それでも、彼とのセックスは気持ちが良く、体の相性も良いと自分では思っていたから、私が彼の中では一番の女だって、今までの女たちと私は違うと思っていたのに...........