第5章 都会の空気
キスがさらに深くなって、飲み込めない唾液が溢れて頬を伝うのが分かった。
唾液を口から零す事も、何故かベッドに押し倒されている事も、それ以上の事をすると言われた事も、急すぎて全然頭が追いつかないのに、キスが気持ち良くてもう逆らえない。
(本当に蕩けそう)
ボーッとキスを受け止めていると、彼の片手がシャツの中に侵入し、私の胸をブラ越しに触った。
へっ?
「やっ、社長待って.......」
急に酔いが覚めだ私は、驚いて社長から体を離して壁際に寄った。
「何だ、邪魔をするな」
見るからに不機嫌そうな彼の言葉と表情。
「じ、邪魔って、これは私の体です。私が私を止めて何が悪いんですか?」
本当にいつも彼の行動は急すぎて、こればかりはいくら好きでもはいどうぞご自由にとはいかない。
「貴様は阿呆か。俺と専属契約をした時点で貴様は俺のものだ」
えっ、そうなの?
それはちょっと、嬉しい............
.......................はっ!いやいや喜ぶな私!彼はやりたいだけだ、流されてはいけない。
「蕩けそうな顔をしていたくせに何故逃げる」
うっ、キスはその通りなんだけど、その先は....
「こ、心の準備がまだ.....その......」
全然出来てないんだって。
「...................なる程、貴様は思いのほか手が掛かる」
悪戯に笑うと、ギシっと私に近づいてバサッと私のシャツを捲り上げた。
「ひゃあっ!」
余りの強引さにすっとんきょうな声が出た。
「想像以上の声だな。貴様はやはり面白い」
慌てる私に構わず、彼はククッと笑いながら手をブラの下から潜らせ上にずらすと、ポロンと、露わになった胸のその先を、口に含んだ。
「っ、ンンッ!」
初めての感覚に変な声が漏れそうで、慌てて口を塞いだ。