第39章 夫婦の絆 〜信長様誕生日sp〜
「いや、それは俺も同じだ。貴様がどれほど俺を好きだと言おうが他の男といる姿は耐え難い」
優しい言葉と共に大きな手が私の手を包む様に握った。
「私は…そんな信長の気持ちは嬉しいよ?」
「ならば俺も同じだ。貴様が嫉妬をする度、貴様を可愛いと思う気持ちも増えていく」
信長は私の手を引いてその甲に口づけを落とす。
「っ……、」
(ダメだ。キスしたい)
コーヒーカップを置いているラウンドテーブルの距離がもどかしい。
私は立ち上がって信長の元へ行き、座っている彼に抱きついて、触れるだけのキスをした。
「大好きだよ」
「……知ってる」
顔を崩して信長は笑い、私を彼の上に乗せた。
「でも、市が妊娠なんてびっくりしたね」
「そうだな。今後の仕事の調整もあるし、暫くはマスコミが騒ぎ立てるがあの二人なら大丈夫だろう」
「うん。一瞬会っただけだけど、とてもお似合いだと思ったよ。でも市がママになるなんて…きっと赤ちゃんも可愛いだろうなぁ」
何気に言った言葉なのに、
「…何だ、貴様も子供が欲しいのか?」
「えっ!?」
「貴様が望むのなら、今日から励んでも構わんがどうする?」
イタズラな顔で聞いて来たけど、そんな事を言われて正直驚いた。
「……っ、子供を作ろうって事?」
私たちはもう結婚もしていて、世間的に子供ができても驚かれないのかもしれないけど、
「……私は、まだママにはなれないよ」
旦那様を疑って嫉妬する様な私は、まだ親になる資格なんかない。
それに、
「まだ信長を一人占めしていたい」
一緒に写真に映る市(妹)に気がつかないほどに嫉妬してしまうくらいに信長が好きで、私だけを見ていてほしい。
「誰にも、信長を取られたくないの」
甘える様に、彼の胸に顔を埋める。
好きが毎日増えて行くあなたへの愛情で私は一杯一杯だから、まだママにはなれない。
「ならば俺もまだ親にはなれんな」
「え?」
「貴様がいちいち可愛い事を言う度、俺は貴様を抱きたくて堪らなくなる。俺も貴様を誰にも渡したくはない」
指先でゆっくりと私の頬を撫でた後、ゆっくりと唇が重なり、何度か啄むとまた離れて行った。