第39章 夫婦の絆 〜信長様誕生日sp〜
「俺たちが互いに位置情報を共有してるのを覚えてるか?」
信長はスマホを取り出して、位置情報の画面を見せてくれた。
「あっ!」
そう言えば、何かがあった時のためにって共有してたっけ?
その何かが無かったから一度も使った事は無かったけど……
「昨日から何度連絡しても貴様と繋がらなかったからな」
「あっ、機内モードにしてたから…」
「何かあったのかと位置情報を見れば海や大陸の上を移動していて驚いた。動きからして俺のいる国だとは思ったが、念のため敬太郎に連絡をしたら俺に会いに出掛けたと言うから、ひとまずは安心したと言う所だ」
「っ、ごめんなさい」
そっか、移動途中で連絡をくれるかもなんて事は頭から抜けてた。
「もうとっくにバレてたんだね」
「ロビーに貴様がいた事は分かっていたがマスコミが張っていたからな。市を部屋に置いて迎えに行こうと思ったんだが、開いたエレベーターの中に貴様がいて、手間が省けたな」
ふっと、笑う信長はたぶん全てお見通しなんだ。
「あんな写真は大抵親兄弟、取引関係者と相場が決まっている。貴様もそんなことは分かっているだろう?それとも、本当に俺が浮気をしたとでも思ったのか?」
「ち、違うよっ!今日は信長の誕生日だから、だから会いたくなって……だから……」
………ダメ、こんな言い訳しちゃ絶対にダメだ。
「っ、ごめんなさい。信長の言う通り、本当は少し不安になったの……」
今日は信長の誕生日だって言うのに、私、旦那様を疑ってしまった。
「そんな顔をするな、責めているわけじゃない。事前に話さなかった俺にも責任はある」
「それは違うよっ!」
市の妊娠なんて大スキャンダルにされてしまうもの。秘密裏に動かす必要があった事くらい分かる。
「信長の事…信じてるけど嫉妬はやっぱりしちゃうの。ごめんなさい。やな女だよね…」
好きだからあなたを信じてる!
なんてカッコよく言い切れるまでには、私の登る階段はまだまだ高くて長そうだ。