第38章 夢が見せる奇跡 〜年末年始特別編〜
「単刀直入に言うけど、俺の名前の事……」
「吉法師って名前?」
「そう、それ!気に入ってないから変えてほしいんだ」
「………ええっ!」
本当に単刀直入に来た!
ずばっと物を言うのはどうやらパパ似らしい…
「えっと…気に入ってないの?」
まあ…かなり古風な名前だとは思っていたけど…
「気に入ってるとは言い難い。父さんと母さんが考えてくれた名前だって事は分かってる。でも俺日本じゃなくて海外に住んでるんだよ?そこら辺のこと考えてくれた?」
「どう言うこと?」
「この名前、発音しづらくて誰もちゃんと俺の名前を呼べないんだ」
「ああ、なるほど……」
確かに、日本人の名前は外国の人にとってとても発音がしづらい。と言うかアジア人の名前全般が発音しづらいのだろう。
だからお隣の国々の方達は和名は持ちつつも、海外に来ると外国の名前で過ごす人が多い。でも日本人は自分に外国名をあまりつけないから…
「父さんの場合は日本名でもNobunagaって比較的発音しやすいけど、俺のKippoushi(si)は凄く難しくて、俺KPって呼ばれちゃってるんだよ」
「KP……」
長いワードを嫌うこの国にありがちな略しスタイルだな……
「でも、KPもかっこいいよ?ニックネームだし気にしすぎじゃない?」
「Whatっ!気にしすぎなんかじゃ無いよっ!嫌なんだよっ!俺は日本人なんだから日本名で呼ばれたいっ!だけど発音のしやすい日本名がいい!俺の名前変えてくれるまで俺もう母さんのお腹から出ないからね……!」
「え?どう言う意味…?」
お腹から出ないって……それって、私のお腹から出ないって事っ!?
「も、もしかして、それが嫌でまだ産まれて来てないのっ!?」
驚きのあまり彼の肩を掴んで顔を覗き込んだ。