第38章 夢が見せる奇跡 〜年末年始特別編〜
「Happy new year !!」
時計が12:00時になり、窓の外の街が新年の雰囲気に包まれた。
「開けましておめでとうございます」
暖かい部屋の中でソファにゆったりと座っている私は、その隣に座る信長に新年の挨拶をする。
「ついに年を跨いだな」
信長はそう言って笑うと、私の大きく膨らんだお腹を撫でた。
「ふふっ、この子はまだ出て来たくないみたい…」
私もその大きな手の上に手を乗せてお腹を撫でる。
そう、12月のクリスマスには生まれてくる予定だった私たちの子どもは今でも私のお腹にいるまま……
「俺と貴様の子だからな、やはり一筋縄ではいかんらしい」
信長は大きく張った私のお腹に口づけ耳を寄せた。
「何か出てきたくない理由でもあるのかな?それとものんびりした子なのかも……」
「どちらにせよ俺たちをこんなにも焦らせてこやつは大物に違いない。おっ、俺の言葉が分かるのか?生意気に俺を蹴りおった」
信長は楽しそうにグニャと飛び出た私のお腹をつついた。
「ふふっ、会えるの楽しみだね。早く会いたいな。できれば自然に出してあげたいからそろそろ出て欲しいけどな…」
私もお腹の子に呼びかける。
と言うのもあまり予定日を過ぎるとお腹の中で赤ちゃんが大きく育ち過ぎて母体に負担だからと、あと数日待って出てくる気配がなければこっちの意思で出さなければならなくなってしまうのだ。
「貴様は、辛くはないか?」
「うん、お腹が少し張ってるけど大丈夫だよ。信長がずっとそばにいてくれてるし……」
予定日の少し前から、信長は仕事をリモートワークに切り替えそのまま冬季休暇に入った為、ずっとこの自宅で一緒に居てくれている。
「新年の挨拶もしたことだし、そろそろ寝るか」
「うん」
信長の首に抱きつけば、彼は自然と私を抱き上げ寝室へと連れて行ってくれる。