第38章 夢が見せる奇跡 〜年末年始特別編〜
「とにかく食べよ!信長のクリスマスディナーが食べられるなんて贅沢すぎだよ!」
お腹が大きくなるにつれて胃が圧迫されて食欲が落ちてたけど、信長が作ってくれるものはどれも美味しいから今夜は沢山食べられそう。
「「いただきます」」
二人で手を合わせて、豪華なディナーを食べ始めた。
「男の子か女の子、どっちだろうね?」
性別を聞いていない私たちのお決まりとなったこのやりとり……
「男だ。何度聞かれても俺の考えは変わらん」
そして信長は、初めて妊娠を伝えた時同様に、お腹の子は男の子だと宣言する。
「貴様は今日はどっちなんだ?」
それに引き換え私は考えがコロコロ変わるから、信長はこんな聞き方をする。
「うーーん、男の子っぽいかなぁ、お腹の蹴り方とか力強い気がするし…」
「ならば男だ」
「でもそうすると、名前は吉法師になるんでしょ?」
これもなぜか最初の時から名前は吉法師でいいんじゃないかと信長は言っている。
「嫌なら変えればいい、貴様の好きな名前をつけて構わん」
「嫌ってわけじゃないよ…」
信長の直感とか考えを否定したいわけじゃない。
それに、信長の家は亡くなったお父さんがずっと名前を決めてきたらしく、子供の顔と性別を見てこうしようって感じだったらしいから、その子どもである信長もその考え方を引き継いでいても不思議じゃない。
「もし、女の子だったらどうする?」
「俺の勘に狂いはない。腹の子は男だ」
「そっか…じゃあ君の名は吉法師に決まりそうだよ?」
元気に動くお腹にそう伝えた。
お腹の赤ちゃんは男の子で、名前は吉法師。
妊娠してからずっと続けて来た日々の夫婦のこのやりとりがお腹の中の子にとても影響していたなんて、私たちは何も知らずにクリスマスの夜を二人で過ごした。
※続きは新年とります。