第37章 最終章〜あなたが与えてくれたもの〜
「セナの説明した通りだ。分かったのなら…」
「……まだ全部は理解してないわっ!こっちは今この時が全て初耳案件ばかりで理解なんてできるわけないでしょっ!」
ケイティは信長の言葉を遮り憤怒しながら話を続ける。
「エンゲージリングはプロポーズの時に信長ちゃんが渡したって事で理解できるけど、その結婚指輪は?それはいつ買いに行ったわけ?それとも、それもあらかじめ用意してあったって言うの?」
キッ!と私と信長の薬指に光る指輪を交互に指差しながら、ケイティは叫んだ。
「あ、これは…区役所の帰りに、2人で買いに…」
エンゲージリングは好きなものを選ばせてやれなかったから、マリッジリングは好きなものを選べと信長が言ってくれて…
ケイティには本当に悪いけど、思い出すだけで幸せで顔がニヤけてしまう。
「式は?まさかもう、式まで済ませてきたのっ!?」
「あっ、式は、正式なのはしてないけど、離島の教会で…」
あっちの教会は日中オープンにしてある事が多いらしく、私たちは帰りに小さな教会に寄って、神父様も誰もいなかったけど、2人で愛を誓い合ってキスをした。
そのキスが長くて幸せで……
「それだけで、あの…もう十分と言うか…なんと言うか……」
思い出すだけでもまた顔が熱くなって来て言い淀んでいると、ケイティはそれを察したのか、
「あーーーーーーっ、もうっ、分かったわよ!記者会見の手配すればいいんでしょ!」
両手を上げて観念した。
「やっと理解したか。あれこれ騒がれる前に手を打ちたい。明日にでも会見を開く。手配しろ」
「はいはい!社長1人ね。秀吉ちゃん、社長のスケジュール見せて」
頭を抱えながら秀吉さんにタブレットを貸してと言うように手を出すケイティ。
「いや、今回はセナも会見に出る。それで調整しろ」
「はっ?過去の事も含めて質問攻めに合うわよ?社長1人で対応した方がいいんじゃない?」
ケイティは顔を顰めたけど、
「俺たち2人のことだ。会見には2人で出る」
私の片手を握り、力強く言う信長に私も深く頷いた。