第37章 最終章〜あなたが与えてくれたもの〜
「俺は、法的にも早く貴様を俺のものにしたい。そうすればあらゆるもの全てから貴様を守ることができる。焦っているのは確かだ。だからもう…あまり待てん」
「っ……、」
最高の殺し文句をくらってしまった…!
好きで、好きで、大好きな人から、そんな事を熱い眼差しに捉えられながら囁かれれば、出てくる答えはYESしかないわけで…
「変な態度をとってごめんなさい。不安でも嫌なわけでもないの。ちょっと急で驚いただけで…私も、信長のお嫁さんになりたい。だから、2人で、今から出しに行こう?」
信長に言われた太枠欄に、自分の名前と必要な事を記入した。
「これを出したら、春海セナから織田セナになるね」
「そうだな」
書き終わった婚姻届を信長に渡して彼と手を繋いで窓口に提出した。
受付の人は名前を見るなり驚いて顔を上げたけど、「おめでとうございます」
と言ってくれ、信長と2人顔を見合わせて笑い合った後、「ありがとうございます」とお礼を言った。
区役所を出た階段の所で、大切な言葉を言っていなかった事に気がつく。
「信長、あの…」
「なんだ?」
改めて口に出して言うのはものすごく照れるけど…
「あの…不束者だけど…宜しくお願い…します」
頭を軽く下げると、それを信長が覗き込む。
「………っ、何?」
綺麗な顔は何も言わなかったけど、
「ん………」
優しいキスが返事がわりにされた。
・・・・・・・・・・
「………で、これがその時に撮られた写真です」
もういつ倒れてもおかしくないケイティと、顔面蒼白の秀吉さんに、私はコトの成り行きとネット上に上がっている区役所前でのキス写真の説明をした。
そう、結婚の報告をケイティと秀吉さんにする前に、昨日の写真がネットに出てしまい、しかも【信長とセナ結婚!?】のキャプションもご丁寧についていて、私と信長は早朝の社長室に呼び出されて、冒頭のケイティの叫びとなっていた。