第36章 休暇
「美味しいっ!信長ってほんと天才!」
普段のご飯担当は私だけど、休みの日やこんな時に作ってくれる彼のご飯はとても美味しい。
「貴様の飯の方が俺は好きだ」
「っ、…ありがとう。……帰ったらまた頑張るね?」
「ああ…」
(うぅーーなんて甘いほめ言葉をサラリと言うのーーー!)
もう料理教室に入会してしまいたくなる勢いで心は舞い上がる。
信長と過ごす時間は全てが優しくて愛おしい。
「あっ、ご飯食べたらこの家の内覧会したい」
まだあのベッドルームとこのリビングしか知らないから、別荘の中を見たい。
「そうだな。次の部屋も決めたいしな」
「う、うん…そうだね……」
……墓穴を掘っただろうか…?
目の前の恋人はもう次の一戦へと進もうとしている。
だけど嫌じゃない。ううん、むしろもっと触れ合っていたい。側から見れば、情事に夢中になっているバカップルみたいかもしれないけど、あの騒動を乗り越えた私たちにはとても大切な事で、必要な時間だ。
スタミナを補うためのような大量の肉料理を食べ終わり片付けた後、彼は私の手を引いて部屋中を見せてくれた。
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内覧を終えた私たちはプールのあるテラスへと出て、プールサイドに座って足先をプールの中へと浸した。
「私たち2人だけだと勿体無いくらい広かったね」
セレブの豪邸か?と思うほどの広さと部屋数に、ただただ圧倒された。
「そうだな。まぁ、貴様を堪能する部屋に不自由することがなくてちょうど良い」
私よりもずっと長い脚をプールに浸しながら、信長はまたもや次回戦を匂わせる発言をする。
「そんなには…さすがに…無理だよ…?」
溶かされすぎて消えてなくなりそうだ。
今の今でさえ、もう雰囲気的にはそうなってもおかしくなくて…
でも、まだもう少しこうして話をしていたかった私は、会話を続けた。
「そ、そう言えば信長は別荘とか持ってないの?」
飛行機を買っちゃう位だから、別荘の一つや二つ持ってそうだけど…