第36章 休暇
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何日分かの食材を大量に買い込み連れて来られたのは別荘?のような建屋。
「ここ?」
「ああ、この島にはこう言った一棟借ししかない」
「へぇ〜、素敵」
鍵を開けて扉を開けると、
「わぁっ!」
テレビで見るようなオーシャンビューのリビングが目の前に広がった。
「すご〜い!海が見える〜!」
ホテルともコンドミニアムとも言えない。大人数で来て使うであろう別荘だと思われるここからは、部屋の前に大きなプールもある。
ぼーっと目の前に広がる景色に心を奪われていると、信長が大きな袋を抱えてキッチンへと入っていく。
「あ、手伝うよ」
大量の食材をテーブルに置いて冷蔵庫へ。
今日から3日分の食材らしい。
その食事の時間以外は信長とするんだと思うと、恥ずかしさや嬉しさ、少し怯む気持ちも混ざって身体中がくすぐったい。
最後のお肉を冷蔵庫に入れ終えると信長は手を洗って私を抱き上げた。
「わっ、ちょっ、信長っ?」
視線が急に高くなり、彼の顔が至近距離に…
「覚悟はいいな?」
向けられた彼の目は熱を孕んでいて、胸がきゅんと疼いた。
「う、うん。………ん…っ、」
唇は当たり前に重なってくる。
愛される時間がもう始まるのだとこのキスが伝えてくれていて、私は彼の首に腕を巻き付けて、彼のキスを受け止めた。
「…どの部屋から使う?」
大きなリップ音を響かせ離れた唇は愉しげに私に問いかける。
「どの部屋って…」
まだ内覧もしていないし、果たして何部屋ベッドルームがあるのかは分からないけど、(と言うか、部屋を使い潰していくつもり!?)
「…海の、見える部屋?」
外を気にしていられるのなんて最初の内だけだから、そんな部屋があるのかは分からないけど、海を見ながら信長に抱かれたいと思った。
「見る余裕など、あると思ってるのか?」
ふんっと、鼻で笑う彼に心はどんどん乱されていく。
「チラッと横目でくらいは…見れるかなって…?」
「だといいな」
見せてくれる気はおそらくないんだろう。
私を抱えながら廊下を進む信長は、一番最初の部屋のドアを開けた。
「わぁっ!」
リビングから見えたのと同じ様に、この部屋からも綺麗な海が望める。