第35章 収束
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「市とベルを送ってく。貴様も用意しろ」
「あ、うん」
朝帰りの市とみんなで朝食を食べた後、直ぐに信長は立ち上がり、市もテキパキと帰り支度を始めた。
「本当に、もう帰っちゃうんだ…」
まだ会ってから24時間も経ってないのに…
「春コレが終わったらまた日本に寄るし、ハワイの家にも是非遊びに来て」
「うん。行きたいっ!絶対遊びに行くね」
「ふふっ、ベルと一緒に待ってるわ」
市はそう言って微笑み、ハグと頬にキスというハワイアンな?挨拶をしてくれた。(ドキドキするのはなぜ?)
コートを着て財布とスマホの入る小さなバッグを手に玄関へ行くと、
「何だ、荷物はそれだけか?」
信長は何だか驚いた顔で聞いて来た。
「え?うん。…何か必要だった?」
(空港に送ってくだけだよね?)
「まぁ良い。必要なものはあっちで揃えれば良いからな」
「あっちって?」
「ついて来れば分かる。」
「?」
信長は昨日から、何を聞いてもその返事ばかりだ。
少しばかり疑問に思ったけど、あまり深く考えずに信長の車に乗り込んだ。
地下駐車場から外へ出るとやはりマスコミがたくさんいて、信長の車に気づくとすぐにカメラを向けられフラッシュがたかれた。
「懲りん奴らだな」
チッと舌打ちしながら軽くそんな事を言ってハンドルを切ると、そのまま車道へ出てすぐに高速に乗った。
ラッシュ時間を過ぎた高速は快適に短時間で私たちを空港まで繋げてくれる。
「あれ?駐車場こっちだよ?」
空港の看板が示す駐車場方面に信長は車を走らせず違う方向へ向かっている。
「?」
他にも駐車場があるのかもと思いながら乗っていると、係員らしき人が私達の車に向かって誘導灯を振っている。
「着いたぞ」
「えっ?」
その人の前に車を止めると、信長は私たちに降りる様に促した。