第35章 収束
でも、できる事ならば仲良くしたい。
だから、
「ベルに認めてもらえるように頑張るね。宜しくね」
ベルの気持ちはよく分かる。私も信長が大好きだから、ベルに認めてもらえるように、信長に相応しい子だって思ってもらえるように頑張るね。
「私達の方こそ宜しくね。私の事は市って呼んで?歳も近いし、私もセナって呼んでいいかしら?」
ベルの頭を軽く押さえて無理やり下げさせた市さんは、嬉しいことを言ってくれた。
「もっ、もちろんです。光栄ですっ!」
(どうしよう。本当に嬉しいっ!)
「おい貴様、随分と嬉しそうだが、俺にも普段からそれ位嬉しそうにしろ」
グイッと首に腕をかけて信長が私を覗き込んだ。
「なっ、信長に初めて会った時だってこれくらい興奮してたよ?それに、市だよ?パリコレモデルだよ?すごいんだよ?本当に憧れなんだからっ!」
あらゆるブランドが彼女を起用したがってるって聞いたことがある。本当に今のファッション界にはなくてはならない神のような存在な人だもの。そんなすごい人が大好きな人の妹で、目の前にいて私の名前を呼んでくれるなんて興奮しない方が無理だ!
「ふんっ、貴様に初めて会った時のことは忘れてない。手の甲にキスしただけでガチガチに固まる女は貴様くらいだったからな」
「っ、もう、変な事は思い出さなくていいの」
今度は私が信長の口を両手で塞いだ。
のに、
チュッとなってペロッと舐められる感触が手のひらに…!
「ひゃあっ!」
「くくっ、あの頃とちっとも変わらんな」
「もう、人前ではやめてって言ってるでしょ!」
それも市の、妹の前で!
「ふふっ、本当に仲がいいのね。兄さんが急にハワイに来て今すぐベルを連れて日本に来いって言った時は驚いたけど、納得だわ」
「えっ、そうだったんですか?」
詳しい事はまだ何も聞かされていない私は確認するように信長に顔を向けた。