第34章 告白
「専属契約をやめて普通の学生に戻り俺を忘れたいと言ったあの時の貴様の言葉は忘れてはいない。もう貴様を悲しませないと己に誓っておきながら、貴様の夢を奪ったのが俺自身だと分かり言葉を失った。俺はあの時、一度ならず二度も貴様を苦しめた。そして今回の件で三度目だ。貴様に呆れられても仕方がない事を俺はした」
真剣な眼差しで自分を責めながら私に話をする信長に、ただただ愛おしさが募るけど、
「じゃあもし、もしもだよ?私が本当に呆れてたらどうするの?」
私を苦しめたから別れようって言うつもりなの?
何を言ってもしても、中々いつもの信長に戻ってくれなくて不安になってきた。
「阿保、それだけはさせん!何があっても俺は貴様を離さんっ!」
慌てて否定をしてくれた信長に安堵し、やっぱり愛おしさが込み上げた。
「良かった」
その言葉にホッとした私はすかさず信長に抱きついた。
コンビニ弁当の日付を確認する信長や、落ち込んで俺様色が薄まった元気のない信長を見せてくれるのは、それは全部私の事を思ってくれてるからだって、少しは自惚れてもいいよね?
「もう、キスしてもいい?」
玄関で会った時からずっとキスしたかった私の我慢は限界で…
「はっ?」
「信長のお話…ちゃんと聞いたし理解したよ?だから、もうキスしてもいい?」
(話を聞いてもキスをしたいと思ったらキスしてくれるって言ったよね?)
「っ、貴様…俺の話をちゃんと聞いて…んっ!」
ちゃんと聞いたのに、強張った顔で全然キスをしてくれない信長の唇を私が奪った。
「セナ、待てっ…」
私から唇を離して何かを喋ろうとする彼の口をまた塞いだ。
(待たないよ。だってキスしたいんだもん)
いつもされるばかりだと思わないでほしい。
私が…どれだけ唇を重ね、呼吸を奪われてきたか…
「信長が教えてくれたキスは、私からだってできるんだよ?」
(こうやってキスをすると、どんな言葉を伝えるよりも私の気持ちが分かるでしょ?)
信長が普段私にしてくれるみたいに上手なキスはできないけど、信長が好きだと、幸せなんだと分かってもらえるように、私は何度も角度を変え舌を絡ませた。
そんな私からのキスを、信長は優しく受け止めてくれ、気がついた時には私の頭を支えて私のキスに応えてくれた。