第34章 告白
「ふふっ…」
「何がおかしい?」
「だって…冷蔵庫の前でコンビニのお弁当眺める信長って…中々見られないレアなシーンだなって…」
コンビニ弁当とか食べてるイメージが本当にない。
「俺も普通の日本人だ。貴様らが勝手に俺を美化しすぎなだけだ」
それはそうかもしれないけど…
「でも、コンビニ弁当なんて食べたことないでしょ?」
「それくらいある。…賞味期限は切れてない。食べられるな」
「あ、それさっきケイティが買ってきてくれたのだから」
「そうか。ならこれを食え」
お弁当をレンジに入れて温めボタンを押す彼に、本当に食べた事があるんだなぁ、とまた新たな一面を発見。
「本当に、食べたことあるんだね。レンチンする姿も新鮮」
「俺をなんだと思ってる?これでも中学の時はよく部活帰りに寄ってチキンを食べたし弁当も買った」
「そうなんだ」
その姿も想像し難いなぁ…
「つまらん事ばかり言ってないで食え」
チンっと温まったお弁当を置いて信長はローテーブルの前に座った。
「ありがとう。信長は?」
「俺はいい」
「あ、じゃあコーヒー淹れようか?」
「俺のことはいい、それよりも貴様は弁当を食べろ。少し話もしたい」
「…う、うん、分かった」
会えた事が嬉しくて舞い上がっていたけど、よく考えたら私たちは今大変な状況下にいた事を信長の真剣な顔を見て思い出した。
「いただきます」
お弁当の蓋を取っておかずを一口、
そしてもうひと口…
「…食べずらいよ」
何も言わずに私をじーっと見ている信長。
「俺は気にならん」
「私は気になるよ!あ、ほら、何か話があるって…」
「話は、食べ終わってからでいい。久しぶりに貴様に会ったんだ。見るくらいいいだろう」
「…っ、」
そんな事言われても…こんなに見られてたら、恥ずかしくてドキドキして消化不良起こしちゃうよ!
「た、たまにはいいけどずっとはやだ」
「つべこべ言わずに早く食べろ」
「うーーー、はい」
結局食べ終わるまでの間、時折何気ない会話を挟みながらも、信長の視線が外れることはなく、熱ーい眼差しを向けられながら、私はお弁当を完食した。