第34章 告白
「セナ、反撃開始だ!」
そう言って不敵な笑みを浮かべて笑うのは、私が会いたいと思っていた人で、今は確か海外に出張をしているはずの人…
「………どうして…いるの?」
「会いたいと言ったのは貴様だろう」
「言ったけど…」
そして何度も言わされたけど..
「本物?…本当に、信長?」
「当たり前だ」
ニッと笑うと、彼は両手を広げた。
「いつもの…やってもいいの?」
仕事から帰ってきた信長を迎える時、必ず飛びついているあれを…?飛び込んでこいって事?
「ああ、来いっ!」
「っ、……信長っ!」
いつもみたいに助走がないから高くは飛べなかったけど、ぴょんっと、信長に抱きつき、信長はそんな私を受け止め抱き上げた。
「おかえりなさい」
ぎゅっと彼の首に抱きついた。
「…やはりな」
「え?」
(なに?)
「貴様、いつから飯を食ってない?」
「な、なんで?」
感動的な抱擁中なのに、キスじゃなくていきなりご飯の話?
「前に抱き上げた時よりも軽い、言え、いつから食ってない?」
そんなに怒る事?
「え、ご飯は…えっと…そう言えばプレス発表から食べてない…かな?」
これは…怒られるかも…?とりあえず笑っとく?
「アハハ…」
「阿呆!!」
「ご、ごめんなさいっ!」
ついさっきまで、”阿保”って言ってほしいって思ったけど、この阿呆は想定してなかった。
「貴様は…何かあるとすぐ食欲をなくすその癖を何とかしろ」
「き、気をつけます」
「部屋に上がるぞ」
「うん」
私を抱き抱えたまま信長は器用に靴を脱いで部屋へと上がった。
「何か作ってやるから食え」
「え、いいよ」
(それよりも、キスしたい)
3週間ぶりに触れ合えた彼にまだ抱きついていたいのに、信長は私をベッドの上に下ろすと腕まくりをして冷蔵庫を開けた。
「弁当があるな…、いつのやつだ?」
さっきケイティが買って冷蔵庫に入れてくれたお弁当を手に取り日付を確認する信長に、なんだか笑いが込み上げた。