第33章 プレス発表会
次の日…
顕如は用意周到に、本日発売の週刊紙に事故の原因と私達の関係が騙された偽りの関係であるとの内容の記事を載せた。
ネットニュースもワイドショーでも、私達のこの話題で持ちきりで、事務所の外には大勢のマスコミが押し寄せていて、今日は外出禁止令が出された。
「セナ、雑誌買ってきたわよ」
ケイティがコンビニの袋を下げて部屋に入ってきた。
「ありがとう」
「あと、適当に食べるもの買ってきたから、食べなさいね?」
「うん。迷惑かけてごめんなさい」
「何言ってんの、あんたは何も悪くない。悪いのは、こんな状況のあんたをほったらかしにして居場所すら掴めない信長ちゃんよ!ったく、なんで連絡つかないのよ!」
コンビニの袋から食べ物を出して冷蔵庫に入れながら、ケイティは信長への愚痴をこぼす。
ケイティの言うように、毎日あった信長からの連絡は何故だか昨日から途絶えてしまった。そしてそれは私だけではなく、ケイティや社内のスタッフ達も、誰も信長に連絡がつかないらしく、社内はその事でもピリピリとしていた。
「じゃあ私はもう行くけど、大丈夫ね?」
「うん。大丈夫だよ。ありがとう」
「何かあったら、いつでも連絡しなさいよ、良いわね!」
私を部屋に1人にしておくのが心配なんだろう。ケイティは何度も念を押して部屋を出て行った。
「………暇だな」
こんな時、ランニングにでも行けたら少しは頭がすっきりするにの、今日はジムに行く気にもなれない。事務所内とは言え、誰かに会うのが少しだけ怖い。
ローテーブルの上には、ケイティが買ってきてくれた週刊紙が無造作に置かれている。
既にネット版で読んだけど、その雑誌を手に取りページを開き、もう一度目を通した。
記事は、前回のシンデレラストーリー同様に、信長が私をスカウトするためインターハイの会場であった九州を訪れる所から始まっている。