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あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第32章 舶来



「良く見せろ」

「えっ?」

顎を持たれると強引にグイッと上に向けられた。

(なっ、何!?)

彼氏でもないのに急に顎を掴まれキスをされそうなこの距離感!!

「よし、むくみも無く上々だ。ちゃんと手入れされてるな」

って、いきなり商品(出演者)チェックですか?


「…っ、離して下さい」

こんなとこ信長に見られたらお仕置きどころの話じゃないっ!

「ちょっと元就ちゃん、馴れ馴れしくうちの子に触らないで!キズが付くじゃないっ!」

ケイティも慌てて毛利さんから私を引き離して前に立つ。


「うるせぇな、顔触った位で妊娠でもすんのかてめぇんとこのタレントは」

「あんたならやりかねないわ、常に1m以上は離れてて」

睨み合う二人の間に、バチバチと火花が見えそうだ。


「…まぁいい。どの道今から向かうのは無人島だ。んな事言ってられんのも今のうちだ」

チッと舌打ちをした毛利さんはくるっと体の向きを変えて小型船が停泊している方へと歩き出した。


「ふぅ、油断も隙もないわね、気をつけてね」

「うん。ありがとうケイティ」

昨夜も信長と電話で話してたくさんパワーをもらった。だから大丈夫。


「頑張って来るね」

昨夜もキスしたスマホをぎゅっと握りしめて、私は小型船へ乗り込んだ。




・・・・・・・・・・

降り立った無人島は、とてもきれいな白浜だけの島。

「きれい」

「ほんとね、幻の島なんて素敵ね〜」  

ケイティもうっとりと、その景観に見入っている。

この島は干潮時にのみ現れる幻の島で、その現れ方も毎日違う為、いつ来ても違う形の島を見られるらしい。


「さ、時間は限られてるわ、早速始めましょう」

「はいっ!」

今が一番潮が引いていて、ここからはどんどん潮が満ちて来るため島も小さくなっていくとの事。だから、限られた時間内に私達は撮影を終えなければならない。

出発前のホテルで着替えもヘアメイクも済ませて来た私は、飲料を手に指示された場所に立つ。

今回の衣装は、”爽やか健康茶”に合わせたエメラルドグリーンの妖精の様な衣装。素足で楽しげに浜辺を歩いて、走って、お茶を飲むと言うもの。

風の音や通り過ぎる小型船の音で何度か撮り直しになったけど、島が小さくなり始めた時にはオッケーをもらい、無事に幻の島でのCM撮影を終えた。



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