第3章 専属契約
「好きかだと?ふっ、面白い事を聞く。生憎、俺はそんな感情は持ち合わせていない。だが、貴様を可愛いとは思う」
「えっ?」
好きではないと言われて突き落とされ、可愛いと言われて浮上させられた。
「俺のこの手で売り出したいと思ったのは、貴様が初めてだ」
「........それは、モデルとしてって事ですよね?」
「それ以上にだ。Bbは若手の登竜門だ、一年後、二年後、三年後、ドラマに映画にCMに、貴様を見ない日はない程に、貴様を成長させる自信がある」
「それは.......ありがとうございます」
あくまで、社長と所属タレントの関係だと強調されたみたいに聞こえて、また奈落の底に突き落とされた様な気持ちになった。
「社長として、貴様はただの自社商品として扱おうと思ったが気が変わった。今は、貴様を俺の手で育てたいと思ってる」
「なに、言って......」
どう言う意味?それに今、私を商品って...........
「初めてこの手で売り出したいと思った女が、真っ新な状態で俺の元へとやって来た。貴様が、俺の手の内でどう花開くのかを見たくなった。誰にもその権利を渡したくない」
さっき彼は、私の事を可愛いと思うと言ってくれた。そして今、誰にも渡したくないとも言ってくれた。
そー言う感情を、世間一般には好きと言うんだと思ってた。
でもきっとそう思う私は子供で、そんな感情は持ち合わせていないと言う彼は私より全然大人で........
「セナ俺の女になれ、最高の女に育ててやる」
彼は社長で、私を商品だと言いながら抱きしめる最低の男で............
でも、私の憧れで、好きになってしまった人。
「今まで、一人の女と専属契約をした事はないが、貴様となら、専属契約をしてやってもいい」
「えっ?」
「貴様といると面白そうだ。たまには、一人の女と付き合うのも悪くない」
それはつまり、私の事は好きではないけど、ちゃんと付き合ってはくれると言う事?