第28章 情報もほどほどに
「見ろ、もうこれだけで貴様の腹筋は硬く見事な線を描く」
私のお腹の筋を指先でなぞりながら、信長は艶めいた声を出す。
「っ、そんな事されたら誰でもそうなるよ」
「誰でも、では無い。貴様の身体は無駄なものが無いのにしなやかで柔らかい」
肌の感触を確かめる様に、信長は私の首筋に舌を這わす。
「んっ、あっ、」
「ここも、だいぶ育ったしな」
やわやわと、私のささやかな胸を揉みしだきながら、今度は耳元に悪戯に囁いた。
「っーーーーーーっ!!」
恥ずかしいけど、本当の事だから言い返せない。でも言わないでほしいっ!
ささやか過ぎるほどささやかで、寝転べばまな板の様だった私の胸は、確かに付き合いはじめた当初よりツーサイズアップした(これでやっと普通になった)
「軽くストレッチしておくか」
「へっ?………あっ、ダメっ!」
バシャッと、湯の音が騒ぎ、信長の腕が下に伸びた。
「ふっ、トロトロだな。貴様だけ先にストレッチを始めていたのか?」
「す、ストレッチって…恥ずかしいから言わないで(どこまでがストレッチなんだ!?)」
信長に触れられれば濡れてしまう。そんな事、分かってるのに…
「あまり恥ずかしがるな、気持ちが萎える」
「……っ、え?」
まさに今日雑誌で覚えた言葉が信長の口から飛び出して、瞬間で固まってしまった。
「っ、ごめんなさい」
やっぱり恥ずかしがるのはダメなんだ。
こんなにストレートに言われたことがなかったけど、はっきり口に出してくれてよかった。
ぐっと恥ずかしい気持ちに我慢をして、じっーと信長を見つめた。
「ふっ、別に謝る事じゃない」
そう言って、信長様はもう片方の手で私の脇腹を撫でた。
「ひゃぁんっ!」
「すごい声だな」
「だって擽ったくて………」
はっ!
声も確か…それにくすぐったがるのもダメだって……
ああ、もう何が良くてダメなのか分からない。でもさっきの信長の一言がグサッと刺さっているのは確かで身動きが取れない!
でも、信長がくれる甘さと優しさに甘えすぎてちゃだめだ。本当は嬉しいし大好きだから、恥ずかしがらず、くすぐったがらずに見つめなくちゃ。
覚悟を決めた私は、後ろ抱きにされていた体を反転させ彼の体の中に収まり、信長を見つめた。