第28章 情報もほどほどに
(恥ずかしくない、恥ずかしくない、くすぐったくない、くすぐったくない!)
「っ、ぁぁっ……んん」
身体中を隈なく撫でられ、込み上げるものを声を押し殺して我慢しながら何度も心で呪文を唱え、信長をじーーーーーっと見つめ続けた。
「……くっ、クククッ」
信長は突然笑い出した。
「…っ、どうしたの?」
これもダメだった?
「ククッ、貴様は実に期待を裏切らぬ行動をする。飽きん奴だ」
「え?」
(なに?どう言うこと?)
訳がわからないまま私はぽかんと信長を見つめた。
「貴様、雑誌の特集を読んだだろう?」
「雑誌の特集………え、って、なんでそれを!?」
雑誌は私の部屋に置いてあるはず…
「新刊は社に一冊、モデルに一冊と送られてくる事、忘れておらんか?」
「あっ!」
そうだ忘れてたっ!
だから前回も水着姿を見られて大変な目に遭ったんだった!
「って言うか、信長あの雑誌見てるの?」
「当たり前だ。貴様の事はすべて把握している。もう何一つ見逃したくないからな」
「信長…」
思いがけない彼の言葉に胸は途端にキュンとなる。
「貴様の事だ。隅々まで読み漁って気にするに違いないと思っておったが、揺さぶりをかけたら思い通りに引っかかったな。……ククッ」
要は、さっきの言葉もこのお風呂も全て、信長にはめられたってこと!?
「っ、気にするに決まってるよ、私は信長しか知らないけど、信長は違ってて、それに… 」
悪戯を成功させ笑いが止まらない信長の逞しい胸に、私は抱きつき顔を埋める。
「それに何だ?」
お湯に濡れた大きな手が、私の頬に優しくあてられ視線を合わせてきた。
「信長は、私で満足できてる?」
「はっ?」
あ、ヤバっ!ストレートに聞きすぎたっ!と思ったけどもう遅い。
「っ、だから、私なんて超初心者でされるがままで、…その、しててもきっと、楽しくはないでしょ?」
信長しか知らないけど、信長がどれほどそう言う事に手慣れているのかは分かる。
「私じゃ役不足なのを我慢してるんじゃないかって…」
でも信長は優しいから、私を傷つけないようにいつも私を幸せにしてくれる。