第28章 情報もほどほどに
ドキドキとしながらチラリと後ろを振り返ると、信長は目を瞑ってゆったりと寛いでいるよう。
(やっぱり疲れてるよね)
朝も早いし夜も遅い。
海外出張も頻繁にあって、本当に信長の毎日は見ているだけで大変そう。
なのに…
(何でこんなに引き締まった身体してるんだろう?)
去年の今頃は、よくジムで鍛えている信長を見たけど、今はそんな時間すらなさそうなほど忙しそうで、体がなまっててもおかしくないのに…
そっと、信長の鍛え抜かれた胸筋に触れてみる。
無駄なく引き締まっていて、たるみなんか全然ない。
腕だって逞しいし、なんと言ってもこの腹筋…
ほぼほぼお湯に浸かっていても、割れ目がはっきりと見えて、浮き出ている。
「……っ、おい、なんの真似だ」
「え?」
「貴様のその手」
「手?………あっ!」
気づけば、信長の筋肉を眺めるだけではなく撫で回していた私…
「やっ、これは違うの!」
パッと離した手を信長は素早く掴んだ。
「何が違う?」
絶対分かってるくせに、信長は楽しそーに口角を上げて掴んだ私の手首に唇を押し当てる。
「いっ、忙しくて筋トレとか出来なさそうなのに、信長の体はいつも引き締まってるなって思っただけ」
(本当に、ほんとーにそれだけなの!)
「貴様を抱くだけでも良い運動になるからな」
「なっ!」
しれっと、形の良い唇から溢れる言葉はとても卑猥だ。
お湯の中でもう十分に熱いけど、顔に熱が一気に集中した。
「つまり、俺の体型維持は貴様次第と言う事だ」
愉しそうに顔を私に近づけた信長は、ちゅう〜、と音を立てて手首に痕を付けた。
「貴様の言う通り最近は運動不足だ。今夜はもちろん付き合ってもらう」
これは、長期戦を覚悟しろと言う事?
「っ、あの、私はどちらかと言えば軽めな運動が良いかな?ほら、あまり腹筋バキバキに女子がなるのもどうかなって…」
日々の営みだってかなりな長期戦なのに、こんな宣言をされたら考えただけで意識が遠くなりかけた。
「心配ない。貴様の腹筋はもう見事に割れている。特にこうすると」
信長はふっと私の耳に息を吹きかけ、同時に胸の片方をやわやわと揉んだ。
「っん、」
ぞくりとして、体に力が入る。