第28章 情報もほどほどに
「………え?」
食器を洗う手が止まる。
「その方が効率がいいからな」
ジャーと流れ続ける蛇口の水を信長は止めると、私に掠めるだけのキスをした。
「……っ、断る事は?」
「できるが、そのぶん後にひびくと思え」
ニヤリと笑う顔は久しぶりに見る俺様な顔。
これは、断れば一緒にお風呂に入るよりも恥ずかしい事をベッドでされると言う事だ。
「断っちゃダメって事じゃんっ!」
「当たり前だ。貴様との時間は1分たりとも無駄にしたくない」
「……っ」
うーーー、顔の良い人は得だ。
こんな綺麗な顔を近づけて耳元でコソッと囁かれて断れるはずが無い。
「信長は絶対自分がカッコいいって分かってやってる」
「は?」
「自分に自信がなきゃそんな言葉言えないもん」
そして私はまんまとそれに引っかかって翻弄されてしまう。
「どちらも否定はしない。俺がかっこいいのも自信があるのも事実だ」
「うーーー、」
否定しないところまでカッコいいと思えるなんてもう重症だ。
「そんなに吠えるな。貴様はそんな俺を本気にさせたただ一人の女だ」
ちゅっと、悪戯に笑う口は簡単に私の口にキスをすると軽々と私を抱き上げた。
「えっ、えっ!?まだ洗い終わってないよ?」
「貴様を洗うのが先だ」
「えーーーーー!」
・・・・・・・・・・・
全てにおいて手際の良い彼に、あっという間に真っ裸にされ、恥ずかしがるな間もなく全身を洗われると、お湯に連れ込まれた。
そして気がつけば、
ちゃぷーーん、と、浴槽にもたれて座る信長にもたれる様に私は座っている。
こんな明るい空間で、出来るならばドラマの様に乳白色のお湯にしたいけど、今日は何も入れていないから丸見えだ。
だけど昼間に読んだ雑誌の、”必要以上に恥ずかしがる”と萎えてしまうという内容も頭を掠めて(お尻には色々とあたっていることも気になる)、私は自分の中の羞恥心と戦い平静を装っていた。