第28章 情報もほどほどに
(信長も、こんな事思ってるのかなぁ)
彼しか知らない私には、比べる元彼もいないし、経験豊富な彼とのセックスは毎回グズグズに蕩けるほど気持ちが良い。
彼がずっといなかった私は、高校時代から良く友達が話すエッチ事情を聞いていたけど、ガツガツとやるだけやって彼氏だけ気持ちよくなって終了、なんて事もないし、前戯に時間かけてくれなーい!なんて事もない。
信長との夜はなんて言うか…
優しいキスをたくさんしてくれて、
“セナ”と、私の名前を優しく囁くと、深く呼吸を奪われて、肌と肌が気持ち良く重なり合う。そこからはもう蕩けそうな時間で………
「……はっ!ダメダメっ!」
妄想だけでも下半身が疼きだして、私は慌てて残像を頭から追い出す。
「でも、萎える…かぁ。本当は、私だけが気持ち良いのかなぁ」
凹凸のはっきりとした、誰もが振り返るような美女達とばかり付き合って来た信長が私を選んでくれた理由が未だに分からない私は、特にエッチ事情には乏しく自信が無い。(そして胸もあまりない)
無駄に情報を漁るのは良くないと思いつつも、私は雑誌の内容を熟読し、あろう事かネットで更なる情報を引き出してしまい、頭の中はその事で一杯になってしまった。
そして・・・
夜になり、信長の部屋で一緒に夕飯を済ませた私と信長は、どちらが先にシャワーに行くかの話になった。
「私は今から食器洗うし後でいいよ。信長疲れてるでしょ?ゆっくりお風呂して来て?」
食べ終わった食器を片しながら、私は信長に先にお風呂をすすめた。
信長は私の提案には答えず、テーブルの上の食器を片付けてくれる。
「?」
(何で答えないんだろう?)と思いつつも、私は信長が運んできてくれる食器を軽くすすいで食洗機へと入れて行く。
ダイニングテーブルの上の食器類を全て片した信長は軽くテーブルの上を拭き取ると、私の元へと来て普通に提案して来た。
「一緒に入るか?」