第27章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「セナ」
信長も私の横に腰を落とし、私の片手を優しく握った。
「貴様や俺を張ってるのは、何も一人じゃない。しかも、何の誓約書も交わさず口約束で済ますとは、あのまま行けば次の日には両方とも載せられている所だった」
「そうなの?」
「そうだ」
あのヤロ〜(口悪過ぎ?)少しでもいい奴だと思った私がバカだった!
「でも、写真....載らなかったよね?」
もしかして......
「貴様の写真を勝手に撮った罪と、俺の女と勝手に話をした罪、そして何より、俺の愛する女を騙した罪は重い。よって、再起不能なまでに叩きのめしておいた」
「暴力を振るったって事?」
もう、東京湾に浮いてるとか?
「阿呆、俺は一応弁護士資格を有する者だ。奴の弱みをチラつかせて脅しただけだ。まぁ、二度とペンは握れんと思うがな」
ニヤリと笑うその顔は、私には普段見せない仕事モードの信長の顔だ。
二度とペンを握れない程って、.........一体あの人に何をしたんだろう?
何だか相手がお気の毒に思えて来たけど、あの日信長が約束の時間に遅れて来た謎が解けた。(でもたった30分で何を?謎すぎる!)
「隠すような事をしてごめんなさい。あと、交換条件で、私たちのデートの事を教えてしまったことも」
あの日、信長は全てを知っていて、私の嘘に付き合ってくれてたんだ。
「構わん。貴様も既に仕置きは受けたしな」
「お仕置き?.......っあ!あの日のキスっ」
どうりで、やたらとキスしてくると思った!
「あの日は中々楽しめた。だから貴様が気に病むことは何もない」
ぷにぷにと、信長は満足気に私の唇を押した。
「.....っ、..........参りました」
信長には本当に敵わない。
「それにしてもこの写真、フォームは綺麗だが、ひどい顔だな」
「もう、ひどい!捕まえたくて必死だったんだよ〜」
「モデルの表情とはとても思えん」
「もうー!」
その夜の話はこのネタで尽きる事はなく、私たちは爆笑しながらご飯とケーキを食べ終えた。