第27章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
大学の講義から瞬足で戻った私は、政宗さんに教えてもらったおもてなし料理と信長の好きな料理を作って、ケーキを焼き、リビングとダイニングをお誕生日色へと染め上げた。
「プレゼントの用意もオッケー。見た目も(自分なりに)可愛くした」
後は信長が戻るのを待つのみ。
待ち切れずに玄関の前でウロウロしていると、カチャンと電子ロックの開く音がした。
(帰ってきた!)
「お帰りなさいっ。お仕事お疲れ様っ!」
いつもの如く、玄関が開くと同時に信長に抱きつく。
「悪い。遅くなったな」
私を軽々と受け止める信長は、そのままリビングへと私を連れて行ってくれる。
(驚くかな?驚かないかな?)
バースデー仕様にされたリビングとダイニングを見て信長がどう反応するか、ドキドキする。
「ん?」
リビングに一歩入ると、信長の足が止まった。
私も信長の腕から降りて、信長を抱きしめた。
「お誕生日おめでとう!今夜は、信長のバースデーパーティーだよ」
「.......全て...貴様がやったのか?」
「うん。.....あっ、勝手に部屋を変えちゃってごめんね。後でちゃんと片付けるから」
「いや、いい。驚いたが悪くない」
チュッと頭にキスをしてくれた信長は、少し照れているように見える。
「ふふっ、ありがとう。ねねっ、座って座って、信長の好きな物たくさん作ったよ」
信長の背中を押してダイニングへと向かう。
「ふっ、作り過ぎだ。今夜中には食べ切れん」
ダイニングテーブルに所狭しと置かれたたくさんの料理を見て、信長は目を細めて笑った。
「そうなの、あれもこれもって考えてたら作りすぎちゃって......でも、明日また食べるから」
「貴様らしいな。何日かけても俺が全て食うから残しておけ」
「そう言ってくれるだけで嬉しい。でも傷んじゃうから、一緒にまた明日食べようね」
「そうだな」
優しく笑う信長に見惚れていると、手が伸びて顔を引き寄せられキスをされた。
「ありがとう」と、信長が口に出す事は滅多にないけど、このキスからその気持ちが伝わってきて嬉しい。