第27章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「これだけのものを撮らせれば、奴らも帰るだろう」
息苦しさを感じた頃離れた唇は、悔しい程に綺麗な弧を描き、ニヤリと笑った。
「す、すごい発想だね」
信長じゃないと思いつかないよ。
「貴様との時間を邪魔されるのが気に入らんだけだ」
「...........っ、......ごめんなさい」
........そうだ、忙しい合間を縫って作ってくれ時間だったのに、記者のことばかり気にして大切な2人の時間を台無しにしてた。
「分かったのなら、もう一度寄越せ」
「ん、..........」
綺麗にライトアップされた参道での濃厚なキスは、通る人たちの視線を集める。
きっとこれが明日の週刊誌に載るんだと思ったけど、もうこれ以上は信長との時間を台無しにしたくなくて、私は与えられる甘いキスにそのまま身を委ねた。
・・・・・・・・・・
だがしかし!!
一体どんな結果になっているのかは気になる!
次の日、ドキドキと不安な気持ちを胸に、朝一番オープンした本屋へと行って週刊誌を探した。
「えーっと、あっ、あった。この週刊誌だ」
【本日発売】と札が置かれ、平積みされた週刊誌を手に取り、パラパラとページをめくった。
「...........あれ?」
(載ってない?いや、そんなはず......)
何度かページを確認するも、あの記者の人が言っていた週刊誌には、私たちの写真は載っていなかった。
「.......どうして?」
他の週刊誌もチェックしたけど何も載っていない。
(もしかして、思ったよりも良い人で載せないでいてくれたのかな?)
「なーんだ、良かった〜」
世の中捨てたものじゃない。本当に悪い人なんてやっぱりいないんだ。
載せないでいてくれたのなら良かった〜。
と胸を撫で下ろした私は、そのまま次の日の、信長の誕生日を迎えた。