第27章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「どうした、先程から落ち着かんな」
待ち合わせたカフェから出た私は、さっきの記者がどこから撮影しているのかが気になって仕方がない。
「あ、うん.....また、写真撮られてないかなって.....」
「そんなの、いつもの事だ。勝手に撮らせておけ。行くぞ」
「う、うん」
大きな手が私の手を取り繋ぎ絡められる。
とても嬉しいのに、今日は罪悪感で素直に喜べない。
こんな何気ないシーンも全てシャッターが切られているのかも思うと気が気じゃない。
しかも、
「んっ!ちょっ、外ではダメって」
「ふっ、ならばあまり隙を見せるな」
カフェに迎えに来てくれてから今のでもう何回目だろう?
今日に限って、いつも以上に信長のキス攻撃がすごい気がする。
ダメと言っても信長の気分でされてしまうキスをかわすのはとても難しいのに..........(本音を言えば嬉しいし......)
その後、連れて行ってもらったお店は個室のゆったりとした新店で、写真を撮られる心配のなくなった私は久しぶりのディナーデートを楽しんだ。
けれども、やはり一歩お店から出ると気になってしまい、私は無意識のうちにキョロキョロと辺りを見渡した。
「やけに今日は気にするんだな」
流石の信長も訝しげに私を見る。
「だっ、だってやっぱり気になるよ。久しぶりのデートだし」
「そうか、ならばこれ以上気にならんようにしてやる」
「うん。......って、えっ?どうやって?.......まっ、....んっ!」
噛み合っていない会話に気付いた時すでに遅しで......、私の腕を引き寄せた信長は本日何回目かのキスをして来た。
「ん!んーーーー(な、なんでーーー!!)」
焦る私に構わず、信長は手を私の頭に当てがっつりと口づけてくる。
抵抗しようとしたのも束の間、信長のキスに勝てるはずのない私は、観念して信長のキスを受け止めた。