第26章 varlet
「信長様とのセミヌード写真は大反響で、雑誌なのに重版かかったんでしょ?凄いよね!」
「う、うん。あれは私じゃなく、のぶ...社長の力と言うか......」
....そう、あの二人のセミヌード特集(本人的にはフルヌードで本番さながらな撮影だったけど)は、月刊誌としては異例の重版となり、大反響をよんだ。
その後も、信長と私の二人での依頼が各方面から殺到したけれど、信長はこれを一蹴。芸能界復帰の意思は皆無であると示した。
「あっ、でも仕事はちょこっとだけど、増えては来てるよ。蘭丸君みたいに多忙を極めるにはまだまだ全然だけどね」
「ふぅーん、でもセナは可愛いから、きっとすぐ仕事の依頼が殺到するようになるよ」
「ありがとう。そうなるように頑張らないとね」
「.....そう言えば、セナって何でこの世界に入ろうと思ったの?」
ローストチキンをお代わりしながら、蘭丸君は質問を続ける。
「私?.....んっと、きっかけは社長にスカウトされた事かな」
「あー、そうだった!信長様がスカウトするなん珍しいって思ったけど、どこでスカウトされたの?」
興味津々の蘭丸君に、私も答えるしかない。
「えっと、九州の病院の中庭.....かな?」
「えっ、何でそんな所?セナなんか凄い病気だったの?」
「あははっ、違うよ。私陸上やってたんだけど、大会先の九州で交通事故にあってね、それで入院してた時に社長に会ったの」
あの時の、信長に会えた嬉しさは今でも忘れてない。
「へー、そうなんだ。でも交通事故なんて可哀想。大変だったね。車の急な飛び出しとかだったの?酷いね」
蘭丸君は好奇心旺盛に、ぐいぐい質問をしてくる。
「あ、ううん、私が急に飛び出したの。.....その、犬が車にひかれそうになってて......」
「えーーっ!何それ!?それは良い人過ぎだよ!その犬の飼い主は?捨て犬だったの?」
「あははっ、良い人とかじゃ無いよ。自分でもよく分からないけど、何かあの時は見過ごせなくって、気がついたら飛び出してたんだよね。あっ、カラーはしてたから飼い犬だったとは思うよ?」
そう言えばあの犬は、今元気にしてるのかなぁ。犬の行動を見てた友だちの話だと、そのまま飼い主らしき人の元に走って行ったって聞いたけど.....