第23章 夏休み
「セナ」
水着に着替えてテラスで待っていると、信長は大きな浮き輪を手にテラスへと来た。
ホテルのを借りたのかな?信長と大きな浮き輪と言う意外な組み合わせに驚いていると、スポッとその浮き輪を私の体に通して私の手を繋ぎ海へと連れて行ってくれた。
つい最近入った日本海とは違い温暖な海の中、私が浮き輪の中に入って、信長は外側から手を掛けて海の中でチャプチャプと浮いた。
(う〜思い描いていた彼との海そのものだ。)
「海キレイ。ここからでも魚が見える」
地元の海(とちょっと日本海)しか知らない私にとって、南国の海は青くて透き通っていて感動してしまう。
「貴様は何にでも感動するんだな」
ふっと笑うと頭をぽんっと撫でられた。
「うん、こんな素敵な所に連れて来てくれてありがとう」
きっと今朝だって、私が寝てる間に仕事をしてたと思うけど、疲れた素振り一つも見せずに私に付き合ってくれて、本当に感謝してる。
「いつも、たくさん幸せにしてくれてありがとう。大好きだよ」
ぎゅっと抱きついて、ちゅっと、お礼のつもりで信長のほっぺにキスをした。
「っ、......貴様は本当にいちいち言う事が可愛いくて気が抜けん」
「えっ?」
「分からんでいい。......とりあえず寄越せ」
チャプっという音と共に少し照れた様な顔をした信長の手が私の頭を引き寄せ、
「ん............」
私達は海に浮かびながら、甘く長いキスをした。
(もちろん日焼けもした)
その夜も、宣言通りにたくさんの愛を信長から与えられ、目が覚めればあっという間に三日目で......
快適なヴィラをチェックアウトした私達はお土産屋さんの並ぶ通りへとやって来た。