第23章 夏休み
「知人って、女の人?」
「...........どうしてそうなる。知人は知人だ」
やっぱり女の人だ.......
気付いてないかもしれないけど、信長は誤魔化したいことがあると途端に目を合わせなくなる。普段がオレ様で気持ちいいくらいはっきりしているから余計分かりやすい。
「........ふーん。そうなんだ」
知人でも、大人な関係な女性の知人でしょ?
と突っ込んで聞きたかったけど、これ以上詮索したりやきもちを焼くと、今度はキスで黙らせられてしまうから、流石に2人っきりの車内とは言え着いた早々誰かに写真を撮られても嫌だから、嫉妬心を抑えて飲み込んだ。
それに3日間は楽しむためにあって、喧嘩したいわけじゃないし。
「もうすぐ大橋を渡るぞ」
「えっ、どこどこ?」
ちょっともやっとした気持ちは、
「わぁっ〜!」
目の前に広がる一面のエメラルドグリーンの海で吹き飛んだ。
「オープンにしておいて正解だったな」
「うん!凄い感動」
今回私達が借りた車は、信長が普段乗ってる車に似て大きな黒の四駆で、屋根が外せるタイプのもの。あまりに私が窓を開けて南国の空気を感じたがるから、見かねた信長が路肩に止めて車の屋根を外してくれたのだ。
「こんな綺麗な海があるなんて.......」
水着の撮影で行った海外のリゾート地も感動したけど、この青さは表現できないくらい綺麗。
「あっ、写真」
スマホを取り出して写真に収めたいけど、大パノラマ過ぎて中々上手く収まらない。でも、こそっと運転する信長も隠し撮りしてしまった。(待ち受けにしよ)
大橋を渡り終えるとガラリと雰囲気が変わってサトウキビ畑と海沿いにはリゾートホテルが何軒か見えた。
この島はこの大橋が出来るまでは船でしか渡る事が出来なかったらしく、今もまだ古き良き島の雰囲気が残っている。
「着いたぞ」
白い石造りの門を抜けて、私たちの泊まるヴィラに到着した。