第23章 夏休み
「綺麗に撮れてるな」
信長も悪戯をせずちゃんと見てくれてる。こー言うとこはちゃんと社長なんだな。
「海が凄く冷たくて体の震えが止まらなかったけど、映像に出てなくて良かった」
本当に寒かったなぁ。
「真冬の夜中の海もかなりなものだぞ」
「そ、それは出来れば体験したく無いかも.....」
本当に寒そうで、ぷるっと体が震えた。
「その時は、俺が暖めてやる」
MVの再生が終わったタイミングで、信長は私の腰に手を回してきた。
「あっ、ダメ!」
「腰に手を回したくらいでうるさい奴だ」
「うそっ、だって何か触り方が......」
いやらしい......
「触り方が何だ....?」
ちゅっと、首すじにキスの音。
「あ、ほらっ!キス禁止って言ってるのに」
「その禁止を了承した覚えはない。煽られてはおらんが、誘う匂い放つ貴様が悪い」
「に、匂い詐欺も禁止!」
油断も隙もない。
「うるさい、少し黙れ」
「んっ..........」
これは......ヤバイ.....流されてしまうパターン......
信長のキスを私が拒めるわけもなく、段々と蕩け出した時.....
「あーコホンっ!」
すっかりお約束となった、強めな咳払いが聞こえて来た。
「ひ、秀吉さん!」(助かった!)
私は慌てて信長の膝から飛び降りる。
「Bbが新刊を送って来ましたのでお待ちしました」
見慣れてしまったのか、動じる事なく秀吉さんはツカツカと社長のデスクまでやってきて雑誌を手渡した。
「ああ、新刊か」
「社長の所にも届くの?」
「いつも二冊送られて来るんだ。一冊は敬太郎さん経由でお前に、もう一冊は社長にお渡ししている」
「そうなんだ.........」
あれでも待てよ.......
「あっ、ダメ」
秀吉さんからBbの新刊を受け取りページをめくろうとする信長の手を止めた。
だって今月号は確か.....
「何だ、手を離せ」
「だって.......」
水着姿が載ってる。
「見られて困るような雑誌じゃないだろう」
私の手を軽く押さえて信長は雑誌を開いた。