第22章 Etigo
次の日.........
「おはようございます」
ふわふわの真っ白なワンピースに身を包み、メイクをしてもらった私は、メンバーのいる夜明け前の海岸に来た。
「おはようセナさん」
「おう、おはよう」
「おはよう佐助君と、.......幸村さん?」
「俺の事は呼び捨てでいい。俺もセナって呼んでいいよな?」
「うん、もちろん。2人とも早いね。」
「ああ、謙信さんに叩き起こされて連れてこられた。」
「そうなんだ。って、その謙信さんは?」
「あそこでピアノの音チェックしてる。迷惑にならないようにヘッドホンしてるから」
佐助君が指差す方を見ると、今日使用する真っ白なピアノに謙信さんが座って何かを弾いているみたいだった。
一面の海と波の音とピアノと謙信さん。
ピアノの音は聞こえてこないけど、もうそれだけで一枚の絵の様に綺麗で、彼の持つ鋭くも儚い雰囲気にぴったりだった。
「私挨拶してくるね」
走って挨拶に行こうとすると、
「あっ、今はやめとけ」
幸村に腕を掴まれ止められた。
「何で?」
「あの人、楽器が恋人みたいなもので、楽器を弾いてる時に声かけられるの嫌うから。特に女から声かけられると機嫌が悪くなってこの後面倒だ」
「えっと......分かった。後にするね」
「おう。悪いな」
幸村はそう言うと腕を離して微笑んだ。
幸村も、かなりなイケメンだなぁ。
芸能界って、ほんとにイケメンの集まりだ。
信長は、私の中で永遠のナンバーワンだけど、家康も義元さんも、このEtigoのメンバーもみんなイケメンばかりで、ここ数ヶ月、イケメンに囲まれて生活している私の目はかなり肥えたに違いない。
「あれっ?もう1人の.....信玄さんは?」
メンバーの中で1番長身で色気たっぷりの信玄さんの姿が見えない。
「あぁ、あの人はいいよ。まだ出番も先だし」
2人とも深追いしないでと言わんばかりに目を遠くに向けたから、それ以上は聞かないことにした。