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あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第22章 Etigo



あっという間に撮影前日。

早朝、海での撮影がある為、ケイティと私は新幹線と在来線を乗り継いで北陸のとある港町に着いた。


「うわぁ、一面の海だぁ」

宿泊するホテルの目の前は一面の海。


「あんた神奈川県民でしょ?海なんて珍しくないじゃない?」

「だって太平洋とはまた全然違うもん。海の色も潮の匂いもに日本海の方が濃い気がする。ん〜この匂い好きだなぁ」

両手を広げて思いっきり匂いを吸い込むと、潮の香りが鼻をかすめる。
根っから田舎っ子の私には、この街の雰囲気全てが懐かしくて心地良い。
この匂いで、一人暮らしを始めてから一度も帰ってない実家をふと思い出した。

元々うちの親はとても放任主義で、モデルの道に進む事も一人暮らしを始める事も何も反対はされなかった。
信長と付き合ってることも、きっとテレビとか週刊誌で知っていると思うけど、何も聞いてこない。
まぁ、その内帰った時にでも説明しようと思いつつ、信長との時間が大切過ぎて中々帰らず現在に至ると言う、なんとも親不孝な娘だ.。

「どうしたの?塞ぎ込んで。社長に会いたくなった?」

揶揄うようにケイティが私の顔を覗き込む。

「寂しいけど違うよ。社長と付き合ってるって事、まだ家族には言ってなくて。ニュースになったから知ってるとは思うけど、あっちからも連絡も来ないし....」

ここまで来ると放任すぎな気もしないでもない。

「あら、社長から聞いてないの?あんたと付き合う事をマスコミに公表する前に、社長自らあんたの両親に付き合うって連絡したみたいよ?」

「えっ!そうなの?」
全然知らなかった。

「何も言ってこないって事は、社長との事認めてくれてるって事よ。安心しなさい」

「うん」

目の前で微笑むケイティの顔も優しかったけど、信長がそんな事をしてくれていた事がとても嬉しくて、目頭が熱くなった。
(私のママも信長のファンだから、きっと信長からの電話にびっくりしただろうな。この撮影が落ち着いたら、ちゃんと連絡しよう)


「さっ、明日も早いし今夜はゆっくり海の幸でも食べて寝ましょ」

「うん、のどぐろ食べたい」

「あら、あんた中々渋い好みね。いい店知ってるわ、食べに行きましょ」

「きゃ〜、ケイティ大好き〜」

「やめてよ、社長に見られたら殺されるわ」


とりあえず、私達の北陸1日目は平和に終了した。

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