第22章 Etigo
「あ〜ケイティどうしよう。緊張して来た〜」
都内にあるレコーディングスタジオの一室に、私とケイティは緊張しながらバントメンバーの到着を待つ。
「あら、アンタでも緊張するの?」
そう言うケイティも、さっきから何度も鏡をチェックしている。
「するよ〜。だって、Etigoだよ?あの今大人気のバンドだよ?私ファンでよく聞いてるもん」
「謙信様かっこいいわよね〜」
ケイティはもうマネージャーと言うよりは、1人の乙女として来たと言っても過言ではない感じだ。
「でも、分かる。特に悲恋の歌がいいよね〜あぁ緊張する」
「何よアンタ。社長だけじゃ飽き足らず、謙信様にも恋焦がれてるわけ?気の多い女ね」
「ち、違うよ!Etigoはファンとして好きなの。社長は彼氏でしょ」
「あら、最初はファンだったのが、猛アタックして彼氏にしたんじゃなかったっけ?」
意地悪に目を細めながら私の肩をつつくケイティ。
「うーー、意地悪」
確かにその通りだから、ぐうの音も出ない.......
「ふふ、冗談よ。....ほらっ、来たみたいよ」
足音が聞こえてきてドアの前で止まると、ガチャリと開いた。
わぁっ!
入って来たのはバンドのメンバーと思しき人達。
先頭にいる半端ないオーラの人が間違いなく、バンドのヴォーカル兼リーダーの上杉謙信。
確かに、信長とはまた違うタイプのイケメンだ。
その後に背の高いイケメンと、ちょっと無愛想なイケメン。そして........
「あれっ?」
最後の眼鏡のイケメンは.........
「佐助...........くん?」
何故か見知った顔が.......
「やっぱり、セナさん?」
「あー、その呼び方懐かしい。やっぱり佐助君だよねっ!?すごい、久しぶり」
地元の同級生だった佐助君だ。
「ほんと久しぶり」
昔と変わらず表情は余り変わらないけど、優しく笑うとことか変わってない。