第22章 Etigo
「セナには甘いわねぇ。あっ、でもこれはどう?ミュージックビデオへの出演の依頼よ」
「どいつのミュージックビデオだ?」
「んー..........あぁ、Etigoのミュージックビデオですって」
敬太郎の声が少し高くなった。
「上杉謙信のバンドか......」
今国内では1番勢いのあるバンドだ。
「そう!上杉謙信様の率いるカリスマロックバンドのミュージックビデオですって〜」
「おいっ、語尾を上げるな気持ち悪い」
「あらいいじゃない別に。Etigoはメディアには一切出ない事で有名だけど、ヴォーカルで曲作りも担当しているリーダーの謙信様はカリスマ的存在で超イケメンの最高のバンドなんだから」
敬太郎はもうこの仕事を引き受けるつもりだな。
「引き受けても良いが内容を教えろ。濡れ場も露出も無いだろうな?」
義元の時の二の舞はごめんだ。
「そんなのないわよ。顔合わせは都内になってるけど、Etigoの曲に合わせた切ないシーンを北陸の方で撮影するらしいわ」
「...........悪くないな」
上杉謙信は女嫌いでこの業界でも有名だ。この仕事ならセナにさせても問題はなさそうだ。
「じゃあ、セナに話をして、彼女もオッケーなら、話を進めるわね」
「分かった」
こうして、セナの新たな仕事が決まった。