第20章 格差
そう、社内のカフェが賑わっている原因は、私の彼が頻繁に来るから。
そしてそれに伴い、秀吉さんや社長の知り合いのイケメン達を拝める機会が増え、女子社員たちがこぞって押しかけているからだ。
普段、社員のほとんどは外出することの多い織田プロに社員食堂はなく、社内にいる者のほとんどは、ランチタイムになると下のロータリーにやってくるキッチンカーや、ワンコイン弁当の販売カー、1階にあるコンビニ、もしくは手作り弁当で済ませている。
ただ、会議の時のコーヒーの用意や、来客時にコーヒーを飲みながらの雑談様に、喫茶軽食が夕方まではいつでも取れる様にとカフェは置かれている。
そのカフェになぜ私がいるかと言うと.....
先日、街頭サンプリングの日雇いのバイトを反対され、社内の仕事を何か探してみると言っていた信長は、後日すぐにケイティに話をしてくれ、織田プロのビル内にあるカフェでバイトができる様に手配してくれた。
私の様にバイトをしたくても、オーディションの関係で中々バイトが出来ない織田プロが抱える駆け出しのタレント全てを対象に、希望する者は会社が補助金を出す形でフレックスに働ける様に、カフェの運用会社に掛け合ってくれたのだ。
こうして、少し前から私も玲衣もこのカフェでバイトをさせて貰える事になった。
「相変わらず、愛されてんね?」
笑いを堪えながら、玲衣が揶揄う様に話しかけて来る。
「う、うん」
私の予定はケイティに全て把握されていて、それはつまり、信長も把握していると言う事で......
私がバイトの日で信長も社内にいる時は、こうやってコーヒーを飲みにきてくれる。