第19章 オレ様と私
「ん、.........んっ、」
信長のキスは長くて甘い。
本当は、初めてのアルバイトは楽しくて、もう少し粘ってバイトを続ける事をお願いしたかったけど、重なった唇の熱さや感触が心地良くて、長く続けば続くほど、思考が奪われて何も考えられなくなる。
....それにしても、バイト姿を見られていたとは....
それに、あれで露出が高いと拗ねる彼が可愛くて嬉しかったから、残念だし、紹介してくれた玲衣には申し訳ないけど、このバイトは辞めようと思った。(ベッドの件も折れてくれたし)
やる事全てがいつも急でオレ様だけど、そんな所も全てが好きでたまらない(冷たくされてた時は最高に恐怖だったけど.....)
「ふふっ、大好き」
漸く唇が離れたから、今すぐにこの気持ちを伝えたくて、彼に抱きついた。
「......だから貴様は......」
手で顔を押さえながら困った様に信長は小さなため息を吐くと、
「わっ!」
ドサッと、私をベッドに倒した。
「もう我慢ならん、飯の前に抱かせろ」
「えっ、んっ!」
唇が再び塞がれ、シャツの中に熱い手が入って胸をブラ越しに揉みしだく。
「っ、.........」
これは、今夜はご飯は食べられないかも.....
せっかく煮物を作ってたのに............
煮物を................煮物?
................そうだ煮物!
「.........火、つけっ放し!」
「セナ?」
私の急な大声に驚く信長を押して、慌ててキッチンへ。
「ああ〜やっちゃった〜」
インターホンが鳴って、まさか信長とは思わなかったから、煮物の火を弱火にしたままにしてたんだ。
蓋を取り中を見ると全ての水分が蒸発して、ぷすぷすと音を立てている。
オタマで下の方を掬ってみると、やっぱり少し焦げていた。