第19章 オレ様と私
「えっ?信長」
インターホンを鳴らした相手が俺だと思わなかったのか、ドアを開け俺を見ると、セナは驚いた顔をした。
「早いね。今日はもう仕事終わったの?」
「ああ、貴様に早く会いたくなった」
「っ、そ、そうなんだ........」
自分はどんな時も俺に真っ直ぐに気持ちをぶつけてくるくせに、俺が言う言葉には照れるらしく、セナは顔を真っ赤にして俯いた。
今すぐ抱きたい......
「えっ、何?」
我慢できそうになく、セナを抱き抱え部屋へと急ぐ。
新しいベッドが届いているはずと思ったが.......
「どう言う事だ、これは......?」
まだシングルベッドのままだ。
「なぜ、ベッドが変わっておらん?」
「あ、その事なんだけど........」
セナが申し訳なさそうに口を開いた。
「............貴様の言いたい事は分かった。確かに、この部屋では手狭になるな」
未だ変わらずシングルサイズのままのベッドに、俺はセナの話を聞きながら奴を抱きしめたまま座った。
「うん。あの、ごめんね?信長は狭くて嫌だと思うけど、私は今のままでも一緒にいられるだけで十分幸せだよ?このままのサイズじゃだめ?」
あどけない顔で、俺を煽る言葉を簡単に言うセナに、もうベッドのサイズなどどうでも良くなっていく。
「かまわん、別に俺の部屋に行けばいい話だしな。そんな事よりも、一つ確認したい事がある」
「何?」
「貴様....今日の午後はどこにいた?」
あのスクランブル交差点で見た姿.....
出来れば、貴様ではないと言ってくれ。
「....... あっ、私、アルバイトを始めたんです」
悪気もなく答えるセナに、あの姿は見間違いではなかったと知る。
「はっ?バイト?」
「はい。玲衣に日雇いのバイトを紹介してもらって、今日は、新商品のエナジー系のドリンクをサンプリングしたんです。何本かもらって来たんですけど、飲みますか?」
そう言いながら俺の膝から降りると、冷蔵庫から缶飲料を持ち出して来た。
「いや、俺は飲まんが....何故今更バイトをする必要がある?」
しかも、あんな格好で.....