第19章 オレ様と私
「あんたこの間、信長様とデートして撮影サボったでしょ?」
「う、うん」
私が信長の元を逃げ出した日の事は、世間一般に、私達がデートをして仕事をさぼった事になっている。(あながち間違いではないし.....)
「あの映画のプロデューサーにその事で仁義通す為に、信長様が勝手に次回作で俺を出す事を約束したんだよ」
そ、そんな事が!?
「俺今の仕事だけでも三年先まで埋まってるのに、そこにねじ込まれて困ってんだけど、どう責任とってくれるわけ?」
「せ、責任って言われても.............迷惑かけて、...ごめんね?」
「はぁ、それで終わらせるつもり?」
見るからに不服そうな家康。
「で、でも他に.....私本当に貧乏で美味しいものとかご馳走できそうにないし......うーん、家康の仕事を変わる事はできないし....」
三年先まで予定が詰まってて良いなぁと、本音を漏らしたら火に油な気がして、それは言うのはやめておいた。
「貧乏なら社長からお小遣い貰えばいいじゃん、私ならなんでも買ってもらうし、貰えるだけ貰うけどなぁ」
今度は玲衣が何気にサラッとすごい事を言った。
「れ、玲衣?」
「急にベッド交換しようとするくらい愛されてるわけだし?何でも甘えて貰えば良いじゃん」
「や、それは.....もう、恋人同士を通り越して愛人みたいな気がして....」
お金を貰ってしまったら、今の対等な関係性を築けない気がする。(もう既に対等ではないし.....)
「まぁ、真面目ちゃんのセナには無理か。お金ないなら日雇いのいいバイトたくさん知ってるからいつで連絡して、私この後また路上ライブあるから。じゃあ家康もまたね」
「うん、頑張って」
玲衣は言うだけ言って、部屋へと戻って言った。
ほんと、気持ちが良いほどさっぱりとした美人だ。