第19章 オレ様と私
ギャラの配分は、事務所によって違っている事を、撮影で一緒になるモデルさん達との会話の中で知った。
5:5の所もあれば、6:4の所、3:7の所と色々だ。
織田プロは、事務所4のタレント6と、結構良い方だと言われた。確かに、交通費もレッスン費もすべて出してもらえているし、何よりも、寮の費用は収入に応じてな為、私なんかはタダ同然(光熱費は自分持ち)で住まわせてもらっている。
狭いと信長は言うけれど、私にはとても大切な空間だ。
「うーーーんでも、今月も苦しい.....」
最近は信長と食べる事も増えていて、食費が実はかさんでいる。彼は何でも上手いと言って食べてくれるし、一緒に食事ができるのはとても嬉しいからそこは何とかやり繰りしたい。
こんな事、彼に言ったらすぐにお金を払ってくれそうだけど、どんな時もいつも彼に甘えているから、これ位は自分の働いたお金で彼への感謝として使いたい。
「はぁ〜でも、貧乏だ」
ぶつぶつ言いながらエレベーターを降りると、自分の部屋の前に、作業着姿の男の人が2名。
こんな所まで入って来れないはずなのに....
「あの.............」
不審に思いながら声を掛けると...
「あっ、春海さんですか?」
「....はい」
「私、インポートファニチャーセンターの者です。織田様からのご依頼で、ベッドの交換に来ました」
「えっ?」
「早速作業に取り掛かりますので、入らせて頂いてよろしいでしょうか?」
ニコニコと、作業着の男性はどんどん話を進めて行く。
「いや、あの、私何も聞いてないんですが、交換ってどのベッドにですか?」
織田様からって、信長からって事だよね?
「こちらのベッドへの交換だと、伺っております」
カタログを取り出し、男性は私に広げて見せた。