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あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第19章 オレ様と私



「おはようございます」

地下鉄で乗り過ごさない様に何度も寝落ちしそうになるのを堪えながら、何とか出版社まで辿り着いた。


「おはよう..........どうしたの?セナなんか顔.....やつれてない?」

ロケバスに、衣装を掛けたハンガーラックを積み込もうとしていたスタイリストさんが、私をみてギョッとした顔をした。

「.....ちょっと、眠れなくて....」

寝させてもらえなくてが正解だけど....

「あ〜、今の時期は寝苦しいよね。バテない様に気をつけてね」

優しく心配してくれるスタイリストさん。
うぅ、優しい。本当の事なんて言えないけど、なんだかこの優しさに罪悪感を感じてしまう。


「ありがとうございます。気をつけまーす」


ほんと、明け方までとか勘弁してほしい。
あれでベッドを広くしたらどうなるの?ホテルや信長の部屋のベッドは確かに広くて素敵で快適だったけど、抱かれると、いつも何も考えられなくなってしまうから、私には違いが分からない。
彼は違うんだろうか?どちらにしても、現在でも絶好調にみえるのに、広さを得たらどうなってしまうのか........考えただけで恐ろしい。

ぶるぶると考えを頭から追い出すように頭を振りながらロケバスに乗り込み、撮影場所に着くまでの一時間、爆睡した。




雑誌の撮影は様々な場所で行われる。

都内のビルの中のスタジオだったり、街中の小洒落たマンションの前や通り。今日みたいに早朝に集合してロケバスに乗り込む時は、少し郊外にあるハウススタジオで撮影することが多い。

そして、この間の水着の撮影はリゾート地で行われ、ご褒美をもらった様な気分になった。

まだ、4ヶ月程しか撮影に参加していないけど、まだ一度も同じスタジオや撮影場所に行った事はない程、いつも撮影に行くと新しい場所や物が発見できて楽しい。


ただ..........

「はぁ〜〜〜今月のギャラもこれだけかぁ」

1日がかりの撮影が終わり寮に戻ると、ポストに今月の給与明細が.......
振り込まれるギャラの額を確認すると、僅かばかり.......
映画のギャラはまだ先だから、今月もモデルの収入だけ。
まだまだペーペーの新入りモデルへのページ数は少なく、全身が写ることも少ない。よって支払われる額も低いのだ。



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