第19章 オレ様と私
「狭い.........」
私の部屋で、ベッドの上で情事に及んだ後、私を腕に閉じ込めながら、信長は不快そうに呟いた。
「え?狭い?.....ごめんね。私もっとこっちに行けるよ」
壁際にいた私は壁ギリギリまで寄ってスペースを作る。
「そうじゃない。.....勝手に離れるな」
少し拗ねたような顔をして、彼は壁際に移動した私を連れ戻し、再び腕に閉じ込めた。
「?でも、ベッドの事でしょ?」
「このベッドだと、思う様に貴様を抱けん」
「えっ?」
あんなに.......人の初めてを奪った時からしておいて今更!?
だいたい、6畳の1DKに置けるベッドなんてシングルベッドだろうし、これは元々備え付けで、来た時からここにあるベッドだ。
「でもこれ、信長の会社が用意してくれたものでしょ?」
「そうだな。こんな狭いベッドしか置けんような間取りにした担当者を見つけて始末書だな」
「えぇっ!そんな事で?」
「大問題だ。狭すぎて貴様を抱く事に集中できん!」
いや.......嘘でしょ?寝させてもらえないほどにいつも集中してるじゃん!
「都心の真ん中でこの広さで夜景が望めて、私なんてただみたいな値段で借りてるんだよ?すごい感謝してるのに。それに、狭いとこーやってくっついていられて嬉しいよ?」
本当に嬉しいから、ぎゅっと彼に抱きついた。
「っ、.................貴様........わざとやっておるだろう?」
「えっ、何が............って、......えっ!?」
私達のこの会話は、情事が済んだすぐ後の会話で、いわばまだ裸で、抱き合った余韻に浸っていた最中。
絡め合った脚の方で、何かが元気に存在を主張して来た。
「..........も、もう.......無理だよ?」
明日も....いや、今日の5:30には出版社に集合しなければいけない。
「心配ない。早朝から俺も仕事だ」
「えっ?だから?」
心配だらけだけど.......
「煽った貴様が悪い、責任を取れ!」
「えぇっ!んっ、.......」
嘘でしょーーー!!!
結局、狭いとか集中できないとか散々言っていた信長は、明け方近くまで私を眠らせてくれなかった。