第2章 XOXO
「ぶっ!あんたほんと擦れてなくていいわ〜。それは社長からあんたへの、言わば引越し祝いよ。プレゼントって事」
ケイティがお腹を抱えながら笑っている。
「プレゼントって...............こんな高価な物、いただく理由がありません」
社長とは、あの夏の日に初めて会って以来会っていないけど、ゴシップ誌やネットニュース、情報番組では相変わらず彼のことが取り沙汰されていて、知りたくなくても様々な情報が入ってきていた。
「なるほどねぇ。これは信長ちゃんも苦戦しそうだわねぇ」
「え?」
「何でもない、こっちの話よ。今日社長は社長室にいるから、直接自分で行って、それを突き返すか貰ってお礼を言うか決めなさいな」
「っ..................」
ケイティはそう言うとスマホを取り出して、誰かに連絡をした。
「もしもし、秀吉ちゃん?今からそっちに新人が行くから社長に合わせてあげて。..............そうよセナ。あと、部屋から三成の返事がないから、何とかしておいてよ。じゃあね」
ぷっとスマホを離した。
「社長秘書の秀吉ちゃんに連絡入れといたから、社長に会えると思うわ。社長室はこの下の階よ」
「はい。ありがとうございます。とりあえず、行ってきます」
大きな紙袋を胸に抱えて目の前にある非常扉を開けた。
「ちょっ、セナ、何やってんの?」
「えっ?すぐ下の階なら階段のほうが早いし、何か体を動かしたい気分なので」
「そう、勝手になさい。行ってらっしゃい」
バイバイとケイティが手を振るのを見て、私は階段を勢いよく走り降りた。
「ふふっ、信長ちゃんも見る目あるじゃない」
閉まる非常扉を見ながらケイティは嬉しそうに呟いた。