第2章 XOXO
ピンポーンとケイティが鳴らすけど、
シーーーーン
「もう、あの子はまた世界に入り込んでるわね」
ぼやきながらケイティは更にピンポンピンポンとインターホンを押し続け、ドアも何回かノックしたけど、
シーーーーン
「はぁ、これはダメそうね」
諦めた。
「この部屋の住人は芸能人ではなく文化人枠で契約してる子で、知ってるかしら、純文学で金田川賞を受賞した若き天才小説家の石田三成」
「あ、はいっ、もちろん知ってます。私、その受賞作品読みました」
若くてイケメン小説家の受賞って事で、当時はかなり騒がれてた。彼もこの事務所なんだ。知らなかった。
「いい子なんだけど、執筆や関連資料読み出し始めると何の音も聞こえなくなる、ちょっと手のかかる子でね、まぁそのうち会うと思うからその時にでも挨拶してくれる?」
「はい。勿論です」
「じゃあそうしてね。三成は後で秀吉ちゃんに言って覚醒してもらうから。あっセナ、あなたは明日は宣材写真撮りがスタジオであるから今日は夜更かしせずに早く寝なさいね」
「センザイ写真?」
なに?
「あぁ、これからあんたを売り込む時に必要となる証明写真のようなものよ。全身とバストアップと2パターン撮るから」
「あの、お洋服は何を着れば.......」
本当にお洒落なことには無縁で生きてきたから、写真を撮ってもらうほどの服は、Bbのオーディションに着て行ったお洋服くらいしかない。
「そうだろうと思って、社長からこれ預かってきたから。はい」
そう言うと、エレベーターを降りた時から、ずっとケイティが手に持っていた有名ブランド店の大きな手提げ袋を私に渡してきた。
「え?あの......」
お洋服が入ってる袋にしては大きくズシっと受け取った手に重く感じた。
「靴も入ってるから重いわよ。明日の撮影に着用しなさい」
着用しなさいって...........
「レンタルって事ですか?着た後は、クリーニングしてお返しすればいいですか?」
あまりブランドを知らない私でも知ってる有名ブランド。そのお店のお洋服なんて、クリーニング代も高そうだけど.....