第17章 育まれる関係
耐熱容器のタッパーに入れてきたから、そのままレンチンして、テーブルに置いた。
取皿とお箸と飲み物は彼が用意してくれていて、促されるまま彼の向かいの椅子に腰掛けた。
「あの....大した物じゃないから、美味しくなかったら無理しないでね?」
「いいから、早く蓋を開けろ」
「は、はい」
ぱかっと、持って来たタッパーの蓋を取った。
一つは、ひじきの玄米おにぎりと卵焼き。
もう一つは、豆苗の豚しゃぶサラダとブロッコリーの茎の肉巻き。
「ど、とうぞ」
自分で作っておいて何だけど、節約メニューだとバレバレだろうか?何だか、育ちの良いであろう彼に食べてもらうには忍びなくなって来た.....
「アスリート飯か....貴様らしいな、悪くない」
彼はそう言って、おにぎりを一つ手に取った。
いいえ!決して、アスリート飯を意識したわけではないです。
豆苗は常に低価格で栄養価も高いし、水をあげて置いておけばもう一度収穫することのできる優れもの野菜で、ブロッコリーの茎は、捨てるにはもったいなく、肉巻きするには最適で美味しいと最近気づいた。モデルの微々たる収入で生活する私には、これでも贅沢なメニューなのだ。
「ん、美味い」
彼が口にすると、そのおにぎりも高級おにぎりに見えて来た。義元さんもそうだったけど、信長も一つ一つの所作が綺麗で、見惚れてしまう。
「貴様も食え、それ以上痩せるのは許さん」
この間も、そんな事言ってたな。
「そんなに、...痩せてないよ?ちょっと最近食べ忘れる事が多かっただけで」
他のモデルさん達もみんな凄く痩せてて綺麗だし....
「それが問題なんだ、俺の事は気にせずこれからは先に食べろ。いいな!」
「う....ん」
「これ以上抱き心地が悪くなるのはかなわん。もう少し肉をつけろ」
抱き心地って...
「信長は、....巨乳が好きなの?」
確か麗美さんも、凄く細いのに胸は大きかった...
「ぶっ、.....」
信長は、玄米おにぎりを少し吹き出した。